こんにちは ジーンズリペア&クラフト hands-onです。
※画像クリック(タップ)で詳細表示に変わります。
動画解説もご覧ください。
今回紹介するのはこちらです。
非常に状態の良い古着のジーンズですね。
この画像だけでも、ビンテージデニムのオーラが出ています。
この2枚の画像でこのジーンズの事が判った人はかなりのマニアだと思います。
ズドンと真っすぐなシルエットです。
色落ちは少ないのですが、すでに繊細な縦落ちをしています。
スソ幅が23センチ位あります。
これは何でしょう?
アウトシームはもちろんセルビッチ(耳)付き
スソの折り幅が広めですよね。
(裏コバがやけに広いです)
チェーンステッチで縫ってあるのですが、斜めのウネリが無いので
これはユニオンスペシャルの43200Gでは縫っていないと思います。
画像では見えにくいのですが、耳がピンクとブルーの2色使いなのです。
そしてライトオンスの生地を使っています。
(触った感じでは10~12オンス位)
不思議です。
後ろ身頃からディテールをチェックしていきます。
パッチが付いていないので、まだ何とも言えませんね。
イエロー綿糸が退色して、何とも言えない風合いです。
アーキュエイトステッチがあるので大戦モデルではありませんね。
でも片面タブ、、、47モデル?
センターループはど真ん中です。
ループ幅は13~14ミリ 若干広め
中央が微妙に膨らんでいます。
そしてステッチはオールイエロー綿糸のようです。
やはり年代物に間違いない、、、
さて、フロント部分をチェックしていきましょう!
これで全貌が明らかになります。
脇押さえのサイドステッチが異常に長いです。
47モデルの特徴はここに出ていますが、、、
帯下から計測すると28センチ位ありますよ!
こんなに長いのは初めて見ました(驚)
こちらのジーンズはジッパーフライでした!
(前立ての色落ちで判断できると思いますが、、、)
コンマーのジッパーを使っています。
トップボタンが鉄製のシルバーです。
501ZXX?
いや、、、501ZXXで片面タブはあり得ない。
1954年のデビューだから両面タブじゃないとおかしい、、、
しかも、、、ピンロック(片爪)式です。
以前 裏ブログで紹介した501ZXXはコンマーのカムロック(両爪)式でしたね。
それよりも古い作りです。
コインポケットをチェックします。
縮んでシワになっていますが、501のような斜めのカミナリシワじゃありません。
耳は使っていませんね。
生地は縦向きに使っているようです。
でも斜めのシワが出ていない、、、
この理由も最後に説明します。
リベット刻印が中央寄りです。
CO の O は大文字
1940年代後半のディテールです。
やはり戦後の47モデルでしょう。
(戦前だと、Co で o が小文字になりますから)
さて、裏側をチェックします。
トップボタン裏はドーム状でプックリ膨らんでいます。
(ボコボコでいびつな形状です)
これも1940年代のディテールです。
リベット裏は銅色
錆びていないので鉄製の銅メッキでは無いようです。
隠しリベット付き
リベットに数字の刻印がありませんね。
両面タブになる1953年頃からは数字の刻印が入るようですが、、、(たぶん)
こちらも銅色ですが
暗いこげ茶みたいな色です。
素材が気になります。
という事で、磁石チェックです。
反応しません、、、やはり銅製です。
私の検証結果では 1953年以前は銅製でした。
(大戦モデルはまだ未検証です、、、無刻印のは鉄製と言われていますので検証したい!)
隠しリベットです。
ピタッと付いた!
磁石に付いたリベットが引っ張られているのがわかります?
鉄製の銅メッキですよ!
そうなると大戦モデルや戦前の1937モデルはどうなんだろう?
ちょっと気になります。
今度入荷したら、チェックしたいです。
さて、これディテールのチェックは終了します。
製造された年は戦後の1947年~49年頃だとわかりました。
501ZXXではない、、、
じゃあ何なんだ!
マニアのみなさんはすでにお判りだと思います。
答えは、、、701!
701とは、、、501(当時だと501XX)のレディース版です。
一番の特徴はシルエットです。
ページ先頭の画像をもう一度確認してみてください。
ヒップラインが極端にカーブして、ウエストが絞れているでしょう!
女性の体型に応じて、作ったのでしょう。
701が世界初のレディース専用ジーンズだと言われています。
あのマリリン・モンローが愛用した事で世間に広まったと言われています。
通称 モンローモデル と言ってマニアの間では有名です。
いつ頃 この701はデビューしたのでしょうか?
ネット検索すると、色々と情報は出てくるのですが
勝手に使うと問題がありそうなので、、、
( 701 マリリンモンロー )で検索するとかなりヒットします。
という訳で、、、
祥伝社 BOON VINTAGE Vol.1 を参考文献とさせて頂きます。
(平成9年に発売された雑誌です、、、この雑誌もかなりレアかも?)
P39にこのような説明があります。
この雑誌によると1935年頃にデビューしたようです。
戦前の頃にレディース用ジーンズの需要があったのですね。
(当時は単なる作業服だと思っていましたが、、、)
パッチに注目です。
SANFORIZED サンフォライズド、、、一般的な防縮加工の事です。
この当時から一般的な防縮加工はあったようです。
(今でも、このサンフォライズド加工は幅広く使われています)
コインポケットのシワが斜めにカミナリ状になっていないのは
生地が防縮加工されていたからだったのですね。
※リーバイス社独自の PRE₋SHURUNK デニムが登場するのは
1961年 551ZXXのデビューと同時だったはずです。
あとはサイズ表記が Hip W L と3つあるのも興味深いです。
(現代のレディースジーンズにHip表記は無いですよね、、、)
別のページにこんなレアなモデルも紹介されていました。
701の大戦モデル!
説明文を読むと、、、フロントがボタンフライだったようですね。
701がいつからジッパーフライになったのか
判らなかったので、超マニアな方にお聞きしました。
(私の知識なんてまだまだですから、、、)
そしたら戦後の47モデルからだそうです!
その超マニアな方は 「後ろポケットにむき出しリベットの
最初期701を持っていますよ!」 との事(驚)
世の中には本当に凄い人がいます、、、
さて、今回のウンチクはこれで終了します。
この状態の良いジーンズ、、、どこをリペアするの?って感じですよね。
リペアはしません。
実はカスタマイズをします!(驚)
凄い依頼が来てしまいました、、、
このお宝を解体しないといけません(大汗)
超ビビりながら、頑張りたいと思います。
では!
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